ヨガは柔軟性だけでなく筋力も非常に重要です。アライメントには様々な筋肉が関係しており、それらの筋肉のことをよく知ることは、ヨガ自体の向上につながるといえます。
本記事では「腸腰筋」の働きをはじめ、ポーズとの関係を紹介します。
腸腰筋の解剖学
腸腰筋とは、「大腰筋」「小腰筋」「腸骨筋」の3つの総称ですが、とくに重要なのが「腸骨筋」と「大腰筋」です。「腸骨筋」は、その名のように腸骨の腸骨窩(腸骨のくぼみ部分)から大腿骨の小転子(大腿骨の内側の突起)に付着しています。一方「大腰筋」は12番目の胸椎から4盤面の腰椎の側面から腸骨筋と同じように小転子にかけて位置しています。
腸腰筋は姿勢を維持する際に重要な筋肉のひとつで、体の両側で体幹を支えています。また股関節を動かす際にも働いており、歩いたり走ったりするだけでなく前屈や後屈などざまざまな動きに関係しています。
デスクワークなど同じ体勢を長時間継続していると、腸腰筋が硬くこわばってしまい腰痛などを引きここすといわれています。また反り腰の人やつまずきやすいという人も腸腰筋の筋力が弱くなっている可能性があります。
腸腰筋が弱っていないかチェック!
自分の腸腰筋がきちんと働いているかをチェックしているかチェックしてみましょう。まずは仰向けで横になってください。片方の膝を両手でサポートして胸に近づけます。もう片方の脚がそのままであればOK。膝が浮いてきたり、脚が床から浮いてしまうようであれば、伸ばした脚の腸腰筋が弱くなっている可能性が高いでしょう。膝を立てるとやりやすくなる場合は、腸腰筋が収縮し腰椎が前方に引っ張られて前弯が強くなっているのかもしれません。
腸腰筋が収縮するとき
トリコナーサナは、身体を倒した側の腸腰筋が収縮するポーズです。ポーズの際に少し骨盤を前傾させてみてください。腸腰筋は骨盤の前側に付着しているため、収縮すると骨盤は前傾になるのです。腸腰筋の収縮を感じることができるので試してみてください。またウッティッタトリコナーサナ(ねじったトリコナーサナ)は、腸骨筋部分を効果的に活性化させることができます。
その他の腸腰筋が収縮するアーサナ
ナバーサナ(舟のポーズ)、ダンダーサナ、ティティバーサナ、ウッティッタハスタパーダングシュターサナ
腸腰筋がストレッチされるとき
ヨガの際に腰で後屈してしまいやすい人は、腸腰筋のストレッチには注意が必要です。腸腰筋をストレッチするのではなく腰椎に負担をかけてポーズなどをとってしまうことがあるからです。とくにアンジャニアーサナは腰が反りやすいので、おすすめはハイランジです。
ハイランジは一見簡単そうに見えますが実はハードなポーズです。後ろ脚をまっすぐに伸ばしながら、骨盤をできる限り後傾にすることが大切。脚を開いているので、いわゆる後傾にすることはできませんが、尾骨を前側へ巻き込みながら骨盤を立てるイメージです。そうすると、後ろへ伸ばした脚の付け根部分(腸腰筋)が非常にストレッチされます。
その他の腸腰筋がストレッチされるアーサナ
アンジャニアーサナ(三日月のポーズ)、ウシュトラアーサナ(ラクダのポーズ)、セッツバンダアーサナ(橋のポーズ)、バックベンド