解剖学というと難しく聞こえるかもしれませんし、聞きなれない専門用語も多数出てきますが、体の仕組みを知ることが大切です。ヨガなど運動するするときに、身体の作りや働きを知っていると間違った体の使い方をして痛めることを防いだり、よりよいパフォーマンスを出すことができます。
まず1回目は、「肩甲骨」についてのご紹介です。
鎖骨につながるだけで、基本は浮いている
肩甲骨は、背中の上部にある骨で体の仕組みに詳しくない人でもその名前は聞いたことがある人が多いと思います。背中の左右にあり、腕の上下や回すなど腕の動きなどに関与しています。鎖骨をつながっているものの、他の動体部分の骨に接続しておらず、物理的には浮いているような状態です。そのため自由度が高く、肩の動きにおいて広い範囲を動くことができます。
肩甲骨が動く方向は、以下の6つあるといわれています。
❶ 内転と外転
横の動き。肩甲骨を背中側で寄せる動作など
❷ 拳上と下制
肩甲骨が上下にスライドする動き。肩をすくめる動作など
❸ 上方回旋と下方回旋
腕を横から上下に移動させる動き。上げた腕を下ろす動作など
いろいろな筋肉が鎖骨に関係
また肩甲骨は鎖骨としかつながっていないため、いくつかの筋肉が肩甲骨を支えてます。その筋肉の中でもメインの筋肉が以下の5つです。すべて肩甲骨に付着している筋肉で、肩甲骨の動きに深く関わっています。
棘上筋(きょくじょうきん)
肩関節の横の筋肉。肩こりの際に揉む部分。肩関節の安定に関わっており負担も大きい
棘下筋(きょくかきん)
棘上筋の下にあり、肩甲骨の大部分をを覆っている筋肉。何かを投げるときなど頻繁に使われる
小円筋(しょうえんきん)
4つの回旋筋腱板のひとつ。棘下筋の下にあり、棘下筋を補助している
肩甲下筋(けんこうかきん)
肩甲骨の内側にある筋肉。直接触ることができない
大円筋(だいえんきん)
小円筋の下側、脇の部分にある筋肉。広背筋とととも肩関節の伸展、内転、内旋などをおこなう
菱形筋(りょうけいきん)
肩甲骨から背骨をつなぐ筋肉。名の通り菱形。肩甲骨の拳上や内転に関係している
四十肩と肩こりは違うのか?
四十肩、五十肩とは、中高年になり肩が上がりにくくなる症状のことを言いますが、これは肩こりと何が違うのでしょうか。どちらも肩の動きに支障がある点では同じですが、原因が異なります。四十肩や五十肩は、加齢のため肩関節の「腱板」の炎症で引き起こされるといわれています。一方肩こりは、筋肉疲労から起こるもので、筋肉が緊張により血流が悪くなることが原因です。